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CFOP法の解釈:OLL編 その1 Edge OLL

前回は F2L の解法について理解しました。 今回は、次のサブステップである OLL について、理屈を掘り下げていきましょう。

OLLではU面の色を一色にそろえることを目指します。このステップでは上の面の色だけに注目します。側面の色はまだそろえません。

初心者向けの OLL は2つのステップに分けて行われます。

  1. Edge OLL: U面のエッジの色を揃える(十字を作る)
  2. Corner OLL: U面のコーナーの色を揃える(完全にU面を一色にする)

f:id:yuimat:20170727230008p:plain → Edge OLL → f:id:yuimat:20170727230129p:plain → Corner OLL → f:id:yuimat:20170727230051p:plain

このように、エッジをそろえてからコーナーをそろえる、というステップを踏むことで、動かせない領域が増えるのを極力遅らせながら進めることができます。

今回の記事では1つ目のサブステップである Edge OLL の理屈を掘り下げていきます。 まずはいつものように説明のための用語を定義したいと思います。

  • ターゲット色=U面色:最終的にU面にそろえたい色=U面のセンターピースの色。
  • LLピース:U面色を持つピース
    • LLエッジ:U面色を持つエッジピース
    • LLコーナー:U面色を持つコーナーピース
  • 色の向きがかわる:U面にあるLLエッジやLLコーナーに特定の操作を加えた結果、そのピースが再びU面に戻ってきたとき、操作前の状態と比べてU面にある色が入れ替わっていること
    • LLエッジの場合の実例
    • LLコーナーの場合の実例
  • 向きがそろう:LLエッジやLLコーナーがU面にあるとき、そのピースのU面色がU面を向くこと

Edge OLL

このステップでは、最終的にU面にターゲット色の十字の模様を作れば完成です。コーナーの色はまだ気にしません。 U面に十字を作るというのは、言い換えれば、LLエッジのうちターゲット色が側面を向いているものを見つけて、 そのピースのターゲット色を上に向けさせればよいということになります。 上で定義した用語で言えば「U面に十字を作る」=「全てのLLエッジの向きがそろう」ということになります。

では、実例を見ていきましょう。下図の例では、F面とR面にあるLLエッジのターゲット色(黄色)が側面を向いています。

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これらの2つのピースのターゲット色の向きを変えることができれば十字が完成するというわけです。

それでは、どのようにすれば下の2層をぐちゃぐちゃに崩すことなくLLエッジの向きを変えることができるでしょうか。 今、下の2層は完全にピースが正しくそろっていますから、U面以外の回転を加えると必ずそのどこかが崩れてしまいます。 一方で、U面をだけをいくら回し続けてもLLエッジの色の向きは変わらないことは明白です。

したがって、LLエッジの向きを変えるためには、少なくとも下の2層のピースを一時的に崩さなければならないことは分かります。 しかし、せっかく頑張ってそろえたピースですから、やむを得ず一時的に崩したとしても、LLエッジの向きを変えるという目的を果たした後は元のそろった状態に戻したいところです。また、崩すとしても、できるだけ最小の崩し方で目的を実現したいところです。

では、どのような手順を踏めばそのような事ができるのか。 順を追って考えていきます。

LLエッジの色の向き

さて、上の節では、U面に乗っているLLエッジの色の向きはU面の回転に対して不変であることに言及しました。 では、どのような操作ならばLLエッジの色の向きを変えることができるのでしょうか。

ここではまず、今後の話をわかりやすくするために「ピースの色の向きが変わる」という言葉の定義を厳密に説明したいと思います。 今、下の2層は既にそろっている状態を考えます(下図)。U面のセンターピースの色を黄色とすると、 そろえなければいけない残りのピースは必ずこの黄色の面を持っています。 これらの黄色の面を持ったピースをLLピースと呼びます。

キューブの色が完璧にそろった状態では、LLピースは下図のように、必ずU面にあり、かつ黄色の面が上側(U面)に来ていなければいけません。

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途中の過程でこれらのピースがU面以外にあるときには、黄色がどのような向きを取っていても構いません。しかし、最終的にこれらのピースがU面にやってきたときには黄色が上を向いている必要があります。LLピースにとって重要なことは、「ピースがU面に来たときに黄色が上を向いていること」です。

この事実から、「LLピースの向き」というのを「そのピースがU面にあるとき、上側(U面)にある色の違い」で定義すると考えやすくなります。 逆に、U面以外にあるときのLLピースの向きはここでは全く考える必要性がないので、特に定義しないことにします。あくまで、「U面にあるときの上側の色」で向きを考えればよいのです。

さて、色の向きの定義が終わったところで、このように定義したピースの向きが変わるのはどういうときかを考えていきます。

LLエッジの向きが変わるための要件

LLエッジの色の向きを変えるための原理を理解するために、各面の回転が LLエッジに与える影響について考察してみましょう。 まず、どこか1面だけを回転させる場合を考えてみます。

1面のみを回転させる場合については、次のことが言えます。

  1. U面、D面の回転はLLエッジの向きに影響を与えない。
  2. 側面(R面、F面、L面、B面)の回転は、LLエッジのうち1つをU面から移動させるが、OLLを完成させるためには、このピースは最終的にU面に戻ってこなければならない。 1つの面の回転のみでは、U面に戻ってきたときのLLエッジの向きを変えることはできない。

したがって、いずれか1面の回転のみでは、LLエッジの色の向きを変えることができないことが分かります。

では、2面の回転の組み合わせではどうでしょうか。 2面の組み合わせとしては、大別して

  1. U面とD面、L面とR面のように、共通するピース部分が無いような組み合わせ
  2. U面とR面、R面とF面のように、隣り合う側面同士の組み合わせ

があります。1の場合は面が互いに干渉しないため、一面のみを個別に動かしている場合と同じですから、LLエッジの向きを変えることは出来ません。

では、2の場合について、例えば、U面とR面のように隣り合う2つの面を回す場合を考えてみましょう。 このように隣り合う二面を回転させる場合には、図のように面に共通部分があるので、エッジピースをこの位置に持ってくればU面とR面のどちらの方向にも影響をあたえることができます。 では実際に動かしてみましょう。