Flying Cube

ルービックキューブに関するブログです

CFOP法の解釈:Cross編

導入

今回は、CFOP法の第一ステップである Cross を掘り下げたいと思います。 CFOP法は、キューブの下から上に向かって順に揃えていく手法ですが、中でも、Crossは一番下の層のエッジをそれぞれが隣接するセンターピースの色とそろえ、下の図のような十字を作るプロセスです。

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この図では、見やすさのために上下を逆さまにしてありますが、実際には白を一番下の層にしてそろえるようです。

「エッジを隣接するセンターピースの色とそろえる」というのは、白と白を隣接させるだけではなく、図のように、側面の色もセンターピースの色とそろえる必要があります。 側面の色がずれている状態では最終的にルービックキューブ全体の色をそろえることはできないので当然といえば当然ですね。

さて、ではどのようにしてクロスをそろえるのかを考えます。 クロスはどの色の面でそろえてもいいのですが、ここでは簡単のため、図と同じ白の面のクロスをそろえることとして説明したいと思います。

まず、説明のための用語を定義します。 ルービックキューブの各ピースはその色の数に応じて次のように呼ぶことにします。

  • センターピース:1色のピース。各面の中央にある。
  • エッジピース:2色のピース。各面の辺にあたる場所にあり、2つのセンターピースと隣接している。
  • コーナーピース:3色のピース。立方体の角の位置にあり、3つのエッジピースと隣接している。

クロスをそろえる面の色をクロス色と呼びます。また、この面をクロス面と呼びます。 また、クロスをそろえるために必要な4つのエッジピースをクロスエッジと呼ぶことにします。 図の例では、クロス色は白なので、クロスエッジは、白赤、白青、白緑、白橙の色を持つ4つのエッジピースです。

操作の説明に利用する回転記号については、こちらの二つのサイトを参照して下さい。 (日本流と海外流で若干違いがあるようです)

ruwix.com

では、始めましょう。

状態の一般化

ここでは、それぞれのクロスエッジのが取りうる状態を一般化します。

今回はまだCFOP法への入門段階ですから、基本中の基本である、クロスエッジを一つ一つ順にそろえていく方法を考えたいと思います。 さて、ルービックキューブの色に対する対称性から、次のことが言えます。

  1. クロス色としてどの色を選んでも解き方は変わりません。
  2. 同様に、一つのクロスエッジをそろえるとき、どの色のクロスエッジを選んでも、解き方は変わりません。

そこで、ここではクロス色を白として考えます。 また、今解こうとしているエッジの色が白赤の場合を例にとります。 白赤以外の他の三つのクロスエッジの状態ですが、これらがすでに正しい位置に入っている状態というのが、回せる面が少ない、最も制約がきつい状態ですので、この場合を代表例として考えます。 それ以外の場合は、全てこの状態の緩和形ですので、これから考える解法と同様の方法で解くことができるはずです。

さて、問題の状況は、例えばこのような状態です。

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最初の図で説明したとおり、クロスエッジの各ピースは、それぞれ隣接する二つのセンターピースと色が一致している必要があります。 ただ、解いている最中には、必ずしも側面のセンターピースの色は一致している必要はなく、 それぞれのクロスエッジの相対的な位置関係があってさえいればよいです。 それはなぜなら、センターピースとの色がずれていても、エッジの色の相対的な位置関係があっていれば、最後にクロス面を回転させてセンターピースと色を一致させることが出来るからです。 例えば、上図の場合は、緑のクロスエッジの右に赤のクロスエッジ、緑の左に橙、緑の裏側に青のクロスエッジがくるのが正しい位置関係です。 それが満たされていれば、

f:id:yuimat:20170528173958p:plain であっても、 f:id:yuimat:20170528174034p:plain であっても、 f:id:yuimat:20170528174108p:plain であっても、 最終的にU面を回すことで f:id:yuimat:20170528174156p:plain になります。

さて、今考えている状況は、3つのクロスエッジが既に正しい相対位置で解かれていて、 最後のクロスエッジを正しい位置に入れようとしている状況なので、仮定より、 クロスエッジの相対的な位置関係は必然的に合っているという状況です。 したがって、側面のセンターピースの色とクロスエッジの色は、全てのエッジをそろえたあとに位置合わせできるので、 側面のセンターピースの色は無視して状態を一般化出来ます。

では、実際に白赤のエッジが取りうる状態を一般化してみましょう。

  1. まず、クロス面がU面となるようにキューブを持ちます。
  2. 次に、クロス面をU面に保ったまま、y, y' の持ち替えによって、白赤エッジがR面の何処かに来るようにキューブを持ち替えます。
  3. 最後に、U面を回転させ、白赤エッジが最終的に入るべきクロスの位置がU面の右側(位置UR)に来るようにします。

このような操作を経ることで、白赤のエッジが取りうる状態は次の2種類に大別できます。

  1. R面にクロス色(白)がない
    • f:id:yuimat:20170527205002p:plain
    • f:id:yuimat:20170527212233p:plain 解法: R f:id:yuimat:20170527205139p:plain 解法: R'
    • f:id:yuimat:20170527212444p:plain 解法: R2
  2. R面にクロス色(白)がある
    • f:id:yuimat:20170527212520p:plain 解法: R U F' or R d R'
    • f:id:yuimat:20170528112957p:plain 解法: U F' or d R' f:id:yuimat:20170528113048p:plain 解法: U' B or d R'
    • f:id:yuimat:20170527212404p:plain 解法: R' U F' or R' d R'

エッジの状態は必ずこの8種類のうちのいずれかのはずです。a のグループは、R面を回転させることで簡単に解けることがわかると思うので、説明は省略します。 すこし工夫が必要なのは b のグループです。以下では、こちらを掘り下げて説明します。

b. R面にクロス色(白)がある

このグループは、R面を回転させることでかならず下図の形にできるので、この形を代表例として考えることにします。

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図の状況でクロスエッジをそろえるためには、エッジピースの白の面を上に持ってくる必要があります。 ここでは、F' で白の面を上に引き上げることができますが、 白赤以外のクロスエッジはすでに正しい位置にそろえられてしまっているので、 この状況で F面を回すと、せっかくそろえたクロスエッジの位置がずれてしまいます。 図の状況では、すでにそろえたクロスエッジの相対的な位置関係に影響を及ぼさずに回せる面は、D面、R面、U面のみです。

ただし、ここで重要なポイントがあります。 それは、U面を回すことによって、動かしても良い面を変化させることが出来るということです。 例えば、1つ目の図の状況から U (U面を時計回りに90度)をした状況を考えます。

f:id:yuimat:20170528114831p:plain

先程までは動かしても良かった面はU面、D面、R面でしたが、この操作によって、R面には別の正しいクロスエッジが乗ってしまったので、動かすことができなくなります。 一方で、F面には、正しいクロスエッジが乗っていない状態になったので、今度はU面、D面、F面が動かしても良い状態になりました。 このように、U面を動かすことで、回転させても良い面を変えることが出来ます。

さて、もともとこの図では、F' の操作ができれば白の面を上に引き上げることができました。 しかも、U面を動かしたことによって、引き上げた先は、ちょうど白赤エッジを入れるべき位置と一致することになりました。 F' することで、無事に白赤エッジを解くことができます。

つまり、 f:id:yuimat:20170528112957p:plain の解法は: U F' であり、この方法を使って b のグループの全ての状態を解くことができることが分かります。

また、別の観点からも簡単な説明が出来ます。 実のところ、Uをした時点でのの形は、視点を変えると a のグループと一致します。ここで、U のあと y' で視点を変えると、

f:id:yuimat:20170528112957p:plain → U → f:id:yuimat:20170528114831p:plain → y' → f:id:yuimat:20170528113048p:plain

のように、a のグループのうちの一つの形になっていることがわかります。あとは、R面を回すだけですね。

これで、

状況のとき、正しくクロスを作ることができるようになりました。

すでにそろっているクロスエッジが0〜2個の場合も、この場合とおおよそ同様の解法で解けます。 ただし、白赤エッジが正しくないクロスエッジの位置にセットされている場合には、このままの方法では解けません。 この場合は、最初の一般化の操作を

  1. まず、クロス面がU面となるようにキューブを持ちます。
  2. 次に、クロス面をU面に保ったまま、y, y' の持ち替えによって、白赤エッジがR面の何処かに来るようにキューブを持ち替えます。
  3. 白赤エッジがU面にあり、かつ、白赤エッジが最終的に入るべきクロスの位置ではない場所に入っている場合、 R' して真ん中の層に移動させます。
  4. 最後に、U面を回転させ、白赤エッジが最終的に入るべきクロスの位置がU面の右側(位置UR)に来るようにします。

とすれば、あとは同様の方法で解くことが出来ます。

ここまでで、クロスを作るための原理は説明できました。 次回は、F2Lの原理を解明しましょう。